【2021年】ベトナムの会計ソフトウェア市場調査/オンプレからクラウドへの移行が進む

レポート

経営状況をタイムリーに把握し、かつ法令で必要な財務・税務報告を行うには、会計業務のシステム化が欠かせません。

日本では大企業はSAPなどのERPパッケージ、中小企業はマネーフォワードやfreeeなどのSaaS型クラウドサービスが主流ですが、ベトナムではどうなのでしょうか。

この記事では、ベトナムにおける会計ソフトウェア市場の調査結果についてレポートします。

ベトナムの会計ソフトウェア市場

弊社のデスクトップリサーチによると、ベトナムにおける企業規模別の主要な会計ソフトウェアはこのような結果になりました。規模では、中小企業向けの会計ソフトウェアを提供しているMISAが一強ですね。

ベトナム会計ソフトウェア市場

以下、3つの特徴があります。

  • 国産ソフトウェアが寡占
  • オンプレミス型からクラウド型への過渡期
  • 零細企業(10名以下)の経理業務は、外部委託がメイン

一つずつ解説していきます。

国産ソフトウェアが寡占

まず目に入るのが、ベトナム国産のソフトウェアで占められている点になります。

SAPやOracleなどのメジャーな外資系ERPパッケージを利用しているのは、一部の大企業(特に外資系)に限られ、シェアとしてはまだ少ないのが現状のようです。

外資系の参入を難しくしているのは、やはりベトナム固有要件への対応、つまりローカライゼーションです。

具体的にリストアップしてみると、

  • 財務省が定めた専用の勘定科目の使用
  • ベトナム会計基準への対応
  • ベトナム当局報告レポート
  • VND建財務諸表の作成
  • ユーザインタフェース、レポート、フォームのベトナム語対応

といったところです。

もちろん、ベトナム以外の国に展開する際にもローカライゼーションは必要になります。SAPやOracleが日本に進出する際にも、数々のローカル要件対応のための開発を行っています。

ベトナムの場合、市場規模が不十分、かつ法規制も未成熟な部分があるため、まだ投資対効果が得られないという判断なのでしょう。

今後も継続してベトナムが経済成長を成し遂げ、グローバル基準の法規制や会計基準を取り入れていることで外資系企業にとっても参入の価値がある市場として見られるようになるのではないかと思います。

オンプレミス型からクラウド型への過渡期

現時点では、買い切りのオンプレミス型が主流ではある一方、SME(10名〜100名規模)領域を中心にクラウド型のサービスも提供され始めています。

日本ではマネーフォワードやfreeeなどのSaaS型クラウドサービスが一定のシェアを獲得していますが、ベトナムの場合はまだこれからという状態です。

クラウドサービスのセキュリティに対する不信感が一因ではありますが、一方、コロナ禍でリモートワークが普及し始めており、追い風も吹いています。

アップデートが不十分な現状のオンプレミス型会計システムに不満を持ちつつも、クラウド型サービス移行負荷に対するに対する不安を抱えている企業は多いはずです。

これらの不安を上手に解消し、移行後も満足度の高いサービスを提供できればクラウド型の普及は一気に進むのではないでしょうか。

Micro Enterprise(10名以下)の経理業務は、外部委託がメイン

日本からすると驚く話ですが、ベトナムにおける企業の経理業務は公認会計士の資格保持者が行う必要があります。

それなりに規模が大きい企業であれば、公認会計士の資格を持った社員を雇用することができますが、零細企業や起業したばかりの企業ではそうはいきません。

従って、10名以下程度の企業では、会計サービス業者に経理業務を外部委託するケースが多いです。

(ちなみに弊社も会計サービス会社に委託しています。)

この場合、会計サービス会社にインボイスや契約書等の各種書類を提出し、帳簿をつけてもらうことになります。つまり、企業側では会計ソフトウェアをもつ必要がありません。

こういった事情から、Micro Enterprise向けの会計ソフトウェアは需要が少なく、目立ったソフトウェアがありません。

一方、会計サービス会社が多数の顧客企業の会計管理をするための会計ソフトウェアがあったりします。

まとめ

最後にベトナムの会計ソフトウェア市場のポイントをもう一度。

  • 国産ソフトウェアが寡占
  • オンプレミス型からクラウド型への過渡期
  • 零細企業(10名以下)の経理業務は、外部委託がメイン

中小規模の企業を中心にオンプレミス型からクラウド型への移行が進んでいますし、2022年7月電子インボイスの必須化も控えているので、会計システムの更改需要は今後増加が見込まれます。

ローカライゼーションがネックではありますが、クラウド型の会計サービスを提供する外資系企業にとってもビジネスチャンスなのではないでしょうか。


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Research on Accounting Software Market in Vietnam

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